sophiaの書

なんか書く

マイクロステップ駆動の音

概要

ステッピングモーターを1-2相励磁により動かしたときの音とマイクロステップ駆動により動かしたときの音を耳で聞いて比べました。マイクロステップ駆動では音が小さいけれど音がしなくなるわけではないことを確かめました。

はじめに

ステッピングモーターを動かすと音が鳴ります。以前ステッピングモーターを鳴らしていた時になぜ音が鳴るのか疑問に思いました。また、マイクロステップ駆動では音がどうなるか気になりました。そこで今回試してみました。

方法

オリエンタルモーターのPKE243A-Lという駆動方式が2相ユニポーラのステッピングモーターを使いました。私のクラシックマウスに使われているものです。今回はクラシックマウスにくっつけたまま実験しました。(私は今のところクラシックマウスだけにしかステッピングモーターを使ってないので、クラシックマウスにくっついたステッピングモーターについて実験します。)

EIC4133というモータードライバー(以下モタドラと略す)を使いました。これはSLA7078MRというモタドラと同じように使えるものです(たぶん)。EIC4133はステッピングモーターと一緒に箱の中に入っていました。

ステッピングモーターを1-2相励磁とマイクロステップ駆動により動かしました。モタドラへ入力するパルス信号の周波数は1-2相励磁とマイクロステップ駆動とで同じにしました。ステッピングモーターが出す音を耳で聞き、その高さと大きさを主観的に比べました。

1-2相励磁はMode F固定としました。また、モタドラの仕様でマイクロステップ駆動はW1-2相励磁、2W1-2相励磁、4W1-2相励磁の3種類あります。今回は三つとも試してみました。つまり、今回試した駆動方式はMode F固定とした1-2相励磁とマイクロステップ駆動のW1-2相励磁、2W1-2相励磁、4W1-2相励磁の計4種類です。

注:これらの専門用語に関する説明はこの記事では省略します。

結果

音の高さはどの駆動方式でも同じでした。

音の大きさは1-2相励磁、W1-2相励磁、2W1-2相励磁、4W1-2相励磁(後ろ三つがマイクロステップ駆動)の順に小さくなっていきました。つまり1-2相励磁が一番大きな音を出し、4W1-2相励磁が一番小さな音を出しました。

4W1-2相励磁でステッピングモーターを動かすとだいぶ音が小さかったです。しかし無音とは言えないくらいの大きさの音が鳴っていました。

1-2相励磁でステッピングモーターをゆっくり回したときテッピングモーターが震えました。一方でW1-2相励磁、2W1-2相励磁、4W1-2相励磁(三つともマイクロステップ駆動)でゆっくり回したときは震えませんでした。なお、1-2相励磁でステッピングモーターを速く回したときはステッピングモーターが震えませんでした。(もしかしたらステッピングモーター単体で実験したら震え方が変わるかもしれません。)

なお、ステッピングモーターが回る速さは1-2相励磁、W1-2相励磁、2W1-2相励磁、4W1-2相励磁の順に遅くなっていきました。モタドラに入力するパルス信号の波一つ分で回る角度が1-2相励磁、W1-2相励磁、2W1-2相励磁、4W1-2相励磁の順に小さくなるからです。

考察

参考文献に書いてありましたので紹介します。

ステッピングモーターは、入力パルスに対して1ステップずつ同期しながら回転しています。

そのため、1ステップごとにオーバーシュートとアンダーシュートを繰り返し、減衰振動をした後に所定の位置で停止しています。
この減衰振動が低速での振動・騒音の原因となる場合があります。

ステップ角を細かくすることで、この減衰振動を小さくすることができます。
そのため、マイクロステップ駆動は低速域での振動や騒音の低減に効果的です。

マイクロステップ駆動が低速域での振動(ゆっくり回したときの震え)に効果的であることは今回の実験でも確かめられました。

今回はどの駆動方式でも同じ高さの音が鳴りました。これはモタドラに同じ周波数のパルス信号を入力しているからです。その場合、どの駆動方式でもステッピングモーターの回転軸が単位時間あたりにカチッと動く回数が同じになります。同じ速さで回転軸がカチカチ鳴るので同じ高さの音が出ます。厳密には音色が違うかもしれませんが、耳で聞いただけではあまり音色の違いがありませんでした。

1-2相励磁、W1-2相励磁、2W1-2相励磁、4W1-2相励磁の順に音が小さくなっていきます。これはW1-2相励磁、2W1-2相励磁、4W1-2相励磁の順に回転軸の動きが滑らかになっていくからです。言い換えると、回転軸がカチッと1回動く大きさが小さくなっていくからです。回転軸がカチッと動く大きさが小さくなればそれだけ回転軸の震えが小さくなります。回転軸の震えが小さくなればそれだけ音が小さくなります。

ステッピングモーターはコイルを不連続に励磁して回すモーターであるため、回転軸の震えはなくならず、音は消えないようです。(不連続でなくなったらもはや「ステッピング」とは言わないのでは?)

まとめ

ステッピングモーターをより滑らかに回せば音がより小さくなります。ただし音はなくなりません。

参考文献 

2-5. マイクロステップ駆動の動作原理|WEBセミナー|セミナー・技術情報 |オリエンタルモーター株式会社

 2020年5月16日閲覧